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ハイヤー・タクシー運転者の

改善事例

ハイヤー・タクシー運転者の改善事例

ITの活用による改善事例

株式会社双葉タクシー:大分県

クラウド型の配車センターを4社で共同運営

 双葉タクシーは、地元のタクシー会社4社と共同でクラウド型の配車システムを2022年5月からスタートしている。「ドライバーの高齢化や新型コロナの影響により、退職者が相次ぎ、タクシーの稼働率が低下したため、利用者からの配車依頼も場合によってはお断りすることが多くなっていました」と佐藤次長は言う。ドライバーの採用・確保が難航する中で、会社では、乗車率の向上とコストの削減を進めると同時に、ドライバーの募集・採用も積極的に行っていた。そんな中で、改善基準告示の改正に伴いドライバーの時間外労働の削減についても取り組む必要もあり、同じ悩みを抱える同業4社で相談し、拠点を集約し共同で配車センターを集約する取組を始めた。乗車率が向上することでドライバーの時間外労働を削減することにつなげることが大きな狙いだったという。

クラウド型の配車センターを4社で共同運営

乗車率の向上で時間外労働を大幅削減

 同一の配車システムを構築した上で、他社のタクシー稼働状況等を、リアルタイムで確認できる大型モニターをセンターに設置し、他社車両でも取次がしやすい環境を整備。「利用者の一番近くのタクシーを手配することが可能となるため、今後は稼働率を上げ待ち時間を徐々に軽減していきます」と佐藤さん。

 一方で、古くからの顧客からはタクシー会社が指定されることが多いため、その際は顧客のニーズを優先するなど、きめ細かな対応を行っている。ベテランドライバーが多く在籍しているため、「自社のお客様を他社の車に乗せることは少し抵抗がある」等の声もあるが、時間内に効率よく仕事ができるようになり、4社の接客サービスの平準化や、お客様を待たせない環境が整えば、徐々に不安もなくなってくる。無駄な待ち時間なども改善され、時間外労働も大幅に削減され、乗車率の向上にもつながることを期待していると言う。

他社のタクシー稼働状況等をリアルタイムで確認
拠点集約後の業務フロー

若年者や女性ドライバーの確保・育成など柔軟な取組計画も!

 ドライバーの平均年齢は現在50代前半。「今後は若手ドライバーの採用・育成や、短時間勤務者の採用や、時間外労働削減に対する取組を強化していきたい」と佐藤さんは説明してくれた。

人材確保・育成による改善事例

国際自動車株式会社:東京都

『働き甲斐のある職場』であること

 当社では、多くの人に向けて「働き甲斐のある職場」であることを前面に広報活動を行いタクシードライバーの募集を通年行っています。人材の確保には、「会社の説明会に来てもらうことが大切」と考え、当社の専用Webサイトには、「新卒採用」、「女性採用」、「中途採用」の3つの採用専用特設サイトを用意し、情報を配信しています。募集情報のほかに、よりタクシードライバーに親近感を持ってもらう工夫として、採用したドライバーへのインタビュー記事を掲載しています。ほとんどが異業種からの採用ということもあり、前職はどんな仕事だったか?タクシードライバーを選択したきっかけは?仕事内容に対する思いは?などさまざまなコメントを掲載しています。

採用専用WebサイトTOP

採用専用WebサイトTOP

プレママサポートプログラム

 現在、女性ドライバーの定着のため、さまざまな取組を行っていますが、その中の一つに妊娠中の女性ドライバーが、健康な出産をするため、運転業務から一時的に離れ、適した職場へ転属する制度「プレママサポートプログラム」を実施しています。一人目の出産の前にプレママサポートを利用した岡本さんは、「先輩ドライバーからもアドバイスをいただき、上司と相談して利用を決めました。健康管理室で勤務させていただき、その後無事出産し、ドライバーに復帰しました。」と話してくれ、現在は二人目の子育て中とのこと。女性ドライバーの働きやすい環境に着実につながっているようです。

プレママサポート活用の岡本さん

プレママサポート活用の岡本さん

洗車サービスの活用で働く時間を短縮!

 ドライバー業務の中に、帰庫後の作業として洗車がありますが、一日の業務終了後に行う洗車はドライバーの負担も少なくありません。ドライバーの労働時間削減を進める上で会社として考えたのは外部への洗車業務の委託です。今年10月から試験的に行っており着実にドライバーの労働時間の削減に効果が出ており、「雨の日の洗車は一番大変で時間かかるので助かっています」と三輪さんは話してくれた。今後は、全社的な取組となるよう関係者で検討を重ねたいと思います。

洗車サービス活用で時間短縮した三輪さん

洗車サービス活用で時間短縮した三輪さん

大和自動車交通株式会社:東京都

慢性的な運転者不足の改善策として

 業界全体の課題である、慢性的な運転者不足による長時間労働を解決するため、幅広い層にタクシー運転者という仕事を選択してもらうための施策が求められています。そのため、二種免許の取得条件の緩和や業界団体による資格取得支援事業を設けるなど若年者を中心とした新しい層に向けたさまざまな取組が行われています。

出発前の点呼風景

出発前の点呼風景

外回り点検風景

外回り点検風景

現役のベテラン運転者が新人の教育・指導係

 当社では、二種免許を取得した若い運転者が安心して長く働けるような環境づくりに向け改善活動を行っています。具体的には、新人運転者の教育・指導係に、現役のベテラン運転者を起用しています。以前であれば、ベテラン運転者には積極的に営業に出てもらい、営業収入を稼いできてほしいという会社の本音があり、現役を離れた元運転者に教育・指導役を担っていただいていました。しかし、数年前から新卒の運転者採用を始めたこと(今年で7年目)をきっかけに、縁あって入社頂いた若い人材にタクシー運転者という仕事を長く続けてもらいたいという思いから、現役のベテラン運転者による、より質の高い教育を受けてもらうことを行っています。「若年運転者の営業収入は年々上昇傾向にあり、運転者として仕事を辞めてしまう方も大幅に少なくなりました」と野村係長は説明する。

指導員による教育風景

指導員による教育風景

勤務形態の多様化を進め、育児・介護などを抱える方に安心して働ける職場を!

 また、長時間拘束されるイメージが強い勤務形態についても、ライフスタイルの多様化に伴い、新しい選択肢を増やしていくことが求められています。「当社では、隔日勤務の場合、月12出番と8出番の勤務形態を設けていましたが、今年から新たに月4出番の勤務形態を設け、現在は、勤務延長者(継続雇用)の選択肢の一つとして選んでいただいています」と中沢部長。「今後は、育児や介護などといった事情を抱える多くの方にも勤務形態の選択肢を増やすことで、職業選択肢の一つとして、タクシー運転者を選んでいただき、安心して長く勤めていただける環境づくりを構築していきたいと考えています」と野村係長は説明してくれた。

中村係長(左)、中澤部長

中村係長(左)、中澤部長

日本交通株式会社:東京都

新卒による乗務員のみで構成した営業所の開設

 業界では中途採用が一般的なところですが、より多様で、長く勤めてくれる人材を採用すべく、日本交通では 2012 年より新卒採用を開始し、既に 1,000 人を超えるドライバーが入社した。新卒採用は、社会経験の少ない人材を採用することから、二種免許や地理検定の取得はもちろんのこと、年間教育計画とそれに基づくハンドブックを作成し、先輩社員が新人の個性に合わせ、運転技術指導、営業指導などコミュニケーションを密にした人材育成が欠かせない。2020 年 8 月には新卒乗務員のみで構成される葛西営業所を開設し、更なる成長と活躍につながる環境を整えている。

新葛西営業所社屋

新葛西営業所社屋

入社3年目の先輩社員が後輩指導役としてサポート

 「大学で専攻したスペイン語を活かすことができ、また、スポーツ等の趣味が多いため自分の時間を大切にできるこの仕事を選びました」と入社3年目の橋本さん。採用WEBサイトを見て、仕事と趣味のON-OFFの切り替えがしやすそうと感じたうえで、頑張った分だけ自分に返る歩合制も魅力だったという。そんな橋本さんは、現在入社1年目の乗務員の指導にあたっている。

左から平石所長、島さん、橋本さん、野村副部長

左から平石所長、島さん、橋本さん、野村副部長

教えられる側から、教える側の存在で活躍したい

 日本交通では、新卒として入社し二種免許等を取得した後に、現場で先輩社員による同乗指導、ドラレコ映像の活用、こまめな面談など新人指導・教育制度がある。橋本さんが指導を行っている入社1年目の島さんは「先輩社員からの指導のおかげで緊張もなく楽しくできました。丁寧に指導していただき、思ったより早く独り立ちできました。これから経験を積んで、先輩のように教える側の存在として活躍したいです」と話してくれた。

教習指導風景

教習指導風景

楽しく、何でも話し合える職場づくりが理想!

 「新卒による同世代だけの営業所ですから、楽しく、和気あいあいとやって欲しい。皆で試行錯誤し、自分たちでこの営業所を支えるんだという気持ちが常に感じられます。私も何でも話せる関係を常に意識し、コミュニケーションを取っています」と平石所長。スポーツや趣味のサークルも活発で、貴重な若手人材の定着・活性化につながっている。秘書広報室の野村副部長は「タクシーはエッセンシャル・サービスとして、社会的に認知が高まり、その中で多様なニーズに対応するのが乗務員。そのためにも安全・安心の提供に社員の健康が欠かせません。労働時間管理と、限られた時間で効率的に稼げる環境整備、それに対応できる人材育成は大切な取組です」と話してくれた。

サークル活動風景

サークル活動風景

ハートフルタクシー株式会社:神奈川県

事業所内保育所を開設し、ママさんドライバーを採用!

 ハートフルタクシーでは、タクシー乗務員の高齢化が進み、離職も続いていた中、客待ちや、利用者の減少などが続き、結果的に乗務員の時間外労働が増えていった。そのため、新たに乗務員を確保することで時間外労働の削減につなげたいと考え、子育て中のママさんドライバーの採用に取り組んでいるという。

ママさんドライバー

ママさんドライバー

 営業エリアである海老名エリアでは住宅街の拡大に伴い、高齢者の通院・買物の送迎、保護者の付き添いのない子供の学童保育や塾等への送迎、妊婦さんの送迎等のニーズが高まってきており、その結果、電話での呼び出しによる利用者が徐々に定着してきているという。「きめ細かな対応ができるママさんドライバーに対するリピート需要が多いためでしょう」と常務の水上さんは利用者増の要因を説明してくれた。子育て中のママさんドライバーのために、少しでも働きやすい環境を整備しようと、事業所内に「ハートフルタクシー事業所内保育所」を開設し、無料で提供、土日出勤者にも対応できるようにしている。さらに、子供の急な病気などへの対応のため、急な欠勤、早退などにも配慮し、勤務シフトも本人の希望をできるだけ反映させている。
「少しでも働きやすい環境をつくることで長く勤務してほしいですね」と水上さんは説明する。

子供の送迎風景

子供の送迎風景

 ママさんドライバーの採用は当初5名だったが、こうした取組の甲斐もあって、現在では25名在籍し、全ドライバーの3割以上を占めているという。事業所内保育所の存在は、働くママさんドライバーにとって、安心して仕事を続けられると好評のようだ。

高齢者の買い物送迎風景

高齢者の買い物送迎風景

保育風景

保育風景